―入社後はどのようなお仕事をされているのでしょうか?
入社後、4年間はマールブランシュ北山本店で働いていました。ちょうど学生時代によく来ていた店舗でしたね。
―馴染みのお店で働くことになったのですね。実際に働いてみてイメージは変わりましたか?
イメージ通りの良いお店でしたが、想像以上でした。何十年も通われている常連様が毎日のようにいらっしゃったり、お店に来て手土産をくださるお客様がいらっしゃったり。皆さん物を買いに来ているというより人に会いに来ている感覚で、これはもう接客の枠を超えた仕事なんですよね。
―接客を超えた接客ですか。そういったお客様と接する中で大切にしていることはありますか?
私は、お客様が言葉にしにくいことを汲み取ることが、究極の接客だと考えています。例えば、「このケーキは誕生日用でメッセージプレートをつけてほしいはずだけど、言葉にしにくそうだな」というのをやり取りのなかで察して、こちらからメッセージプレートの提案をする。そういったお客様の要望を汲み取る接客がしたいんです。まだまだ至らないところがありますが、常に理想の接客ができるように精進しています。
―とてもハイレベルな接客スキルだと感じるのですが、自身のスキルを高めるためにしていることはありますか?
お客様の表情の中でも、特に目の動きは意識して見ています。お客様が入店されてからショーケースの前に立ってケーキを選ぶまでの過程で、目線がどこに行っているか。それによって、あれとあれで悩んでいるのかなと色々と想像しながらコミュニケーションを取って、お客様の心理を学んでいます。
―そういった接客スキルはご自身で編み出されたのでしょうか?
北山本店の支配人が日頃からお客様をよく見て接客することを意識している方なんです。北山本店の指針としてそういう接客をしようという指針があるので、店舗のみんなが共通認識を持っています。ですので、私が接客スキルを高めることができたのは、北山本店の環境のおかげですね。
―そんな新人時代から自分を成長させてくれた北山本店を離れて、今は別の店舗に移られたんですよね?
はい。現在はロマンの森で副店長を任されております。
―副店長になられたんですね。副店長になってから意識が変わったことなどはありますか?
これまでは自分がプレイヤーとしてお客様と接してきましたが、今は周りのメンバーがどれだけ自分のお客様を作れるかを意識し、フォローしたり自分が得た知識を与えたりしています。自分が目立つのではなく、メンバーたちが自分のファンを作る手助けができる立場になっていかなければと常に意識するようになりました。
―ご自身としては接客する機会は減ってきているのでしょうか?
現場に出る機会は確実に減ってますね。たまに、もっと現場に出たいのになって思うこともあります(笑)でも今は、新人のメンバーが「伊藤さんのアドバイス通りに接客をしたら、名前で呼んでもらえるようになりました!」と報告してくれることが嬉しいですね。